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笹幸恵
2020.8.16 18:27日々の出来事

デイリー新潮のトンデモ記事

デイリー新潮で「はあ?」と言いたくなるような
トンデモ記事が配信されている。

「クセ」のある自衛隊員ほど靖国参拝に魅かれる内情…防衛省は敏感に

ひとことで言うと、
自衛隊の内部には靖国神社に祀られている”英霊”に
親近感を覚える人間は多い。政教分離を厳格に
定める憲法第20条に違反している、という記事だ。

もうこの時点で「???」だ。
英霊に親近感を覚えるのがダメということ?
それこそ思想の自由に違反しているのでは?


具体的に何が批判の矛先になっているかというと、
陸自の部隊が神社の階段を駆け足でのぼる訓練をして、
最後に部隊の安全祈願をしたこと、
陸自の学校で、精神教育という授業で靖国神社を参拝したことなど。

確かに憲法第20条には、記事で紹介されているような一文がある。

〈何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを
強制されない〉(第二項)

〈国およびその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動も
してはならない〉(第三項)

しかしこの憲法の条文(第一項)は次の通り。

〈信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。
いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を
行使してはならない〉

要するに憲法第20条は、信教の自由を保障すること、
また特定の宗教が権力を持たないようにすること(国家が
宗教活動を行うこと)を禁止した条文である。
これが「政教分離」というわけなのだけど、日本の場合は
どこまでもこれを拡大解釈して、過剰に反応する。
「一切の宗教色は厳禁!」というわけだ。

しかし政教分離とは、公的な存在に一切の宗教色を出すな、
ということではない。
良く知られている通り、アメリカ大統領は就任時に
聖書に手を置いて宣誓する。
もし自衛隊が、入隊条件に「信仰は神道に限る」などと
しているのなら、憲法違反に当たるだろう。
しかしそんなことはない。

この記事を成立させている防衛省関係者とは、
相当に左がかった人間なのだろう。
靖国神社=悪、
日本軍=悪、
そこに参拝するなどケシカランと言いたいがために、
政教分離を持ち出してくる。

だけどね、一朝事あるときに最前線に行くのは自衛官だ。
75年前、同じように最前線に赴いた兵士たちを弔うのは
当然ではないか。
国難に殉じた人々に敬意を示すことができなくて、
自分たちの任務に誇りを持てるのか???

また、その国の伝統行事や人智を超えたものへの祈りは、
その根本が宗教的な考えから発している場合が多い。
それを全否定してしまっては、共産主義国家と同じに
なってしまう。
この記事でコメントしている防衛省関係者と担当編集者は、
政教分離の正しい理解はおろか、日本人の精神性や知恵、
それらが生まれた歴史を全く知らないのだろう。
靖国神社と自衛隊の批判をしたいばかりに憲法を持ち出す。
何という愚かさ。バランス感覚の著しい欠如。悪質。

訓練にちょうど良い階段があっても、それが神社のなら使うなと?
神社に行っても参拝せずに素通りしとけと?
こんなところまで政教分離、必要ですか?
普通の日本人の生活感覚から、かけ離れていませんか?
それでどうやってこの国を守ろうというの?
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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